この度、フリーアクセスフロア工業会(JAFA)のHPにコラムを連載させていただくこととなりました。私は、建築材料、なかでも仕上材料を専門としている研究者ですが、専門的な内容に偏らず、研究を通して普段感じていることなど、一般の皆様が興味を持って下さる内容となるよう、心掛けて参ります。よろしくお願いいたします。
建築物に要求される基本的な性能とは何か。よく使われる表現に、「用」,「強」,「美」というのがあります。建築物は、その用途を達成するうえで使いやすくなければならない、地震や台風などに対して強くなければならない、そしてなにより美しくなければならない。この3つのうちどれかが欠けていても、また突出していてもダメで、3つのバランスが取れていることが最も重要という考え方です。この考え方は、世界最古の学問の1つである建築学が始まって以来、普遍的な思想として脈々と受け継がれていますが、こと現代建築の価値を考える場合、いわば最低限備えていなければならない性能と位置付けられており、近年は、使用者の要求に応じてプラスアルファの価値を付加することが求められています。そのプラスアルファの価値の1つが日常の安全性や快適性であり、それに大きく影響するのが床の性能です。次回からは、この床の性能について、話を進めてゆきたいと思います。