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設計・建築技術ミニコラム

性能評価方法の意義,重要性

2018年01月30日 横山 裕(東工大教授)

 建築物は、屋根,壁,床,天井などといった部位から構成されていますが、近年特に重要視されている日常の安全性,快適性に最も大きく影響する部位は、床です。床は、建築物内の人間が直接、あるいは間接的に絶えず触れている部位であり、様々な什器,備品の荷重を支える部位でもあります。そのため、床に要求される性能は他の部位と比較すると格段に多く、一般的な性能だけ挙げていっても軽く50は超えます。多岐にわたる性能の中には、例えば「すべりにくさ」と「清掃のしやすさ」など、現在の技術では両立困難な組合せも少なくありません。そこで、どの性能をどの程度重要視するか、取捨選択や重み付けが必要となります。使用者や設計者が、この作業を合理的に行い、要求性能と合致した床を納得したうえで選定できるようにする。そのために必要となるのが、個々の性能からみた各床の良し悪しを定量的に評価できる"性能評価方法"です。私の恩師の小野英哲先生(東京工業大学名誉教授)をはじめとする先達による精力的な研究の結果、床に関しては比較的多くの性能について、妥当な性能評価方法が確立されています。また、フリーアクセスフロアの試験方法の規格JIS A 1450にも、いくつかの先進的な性能評価方法が規定されています。次回からは、これら床の性能評価方法について、根底に流れる理念を述べたうえで、代表的なものについて具体的に紹介してゆきたいと思います。


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