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フリーアクセスフロアがコンピュータ機器の導入と併せて採用された当時は、コンピュータ機器メーカが米国でのアクセスフロアの仕様に合わせて、各社独自の仕様を規定していました。
昭和37年から昭和38年頃、国内でフリーアクセスフロアが開発され始めた当時、メーカは顧客の導入するコンピュータメーカの購入仕様により生産納入していました。
昭和50年代に入り、一般オフィスにOA機器の採用が始まり、輻湊する配線の処理と管理について、安全性及び快適性の観点からフリーアクセスフロアが注目されるようになりました。
特に昭和61年7月に通商産業省の主導によるニューオフィス化推進運動は一般事務所の環境を一変し、快適、安全及び機能的なオフィス作りが強く要請されるようになりました。
このニューオフィス作りに不可欠なフロアとしてフリーアクセスフロアの採用が増加し、各メーカが一般事務所用フリーアクセスフロアとして8種類の構成材料と7種類の構法の組合せによる開発品で一般オフィス市場への参入となりました。
従来のコンピュータメーカの指示する仕様通りに生産していた体制から各メーカがそれぞれ製品の特色及び仕様をユーザーに説明・販売するという市場に変ってきました。
ところが8種類の構成材料には、従来一般にその材料に実施されている材料固有の試験方法があり、構法についてもそれぞれ試験の考え方があり、ユーザーの立場からすれば、各製品の比較検討が容易ではなく、また一般事務所用フリーアクセスフロアとして必要にして充分な試験項目はどの項目であるのかという要望が高まってきました。
そういった諸々の課題に一丸となって取り組み、お客様に安全で安心してお使いいただく製品の提供を果たすべく、標準化等ルール規格など一篇化すべく、フリーアクセスフロア工業会が設立され、各委員の献身的な活動を以て、現時点で一般事務所用としての必要にして充分な試験項目の設定とその試験項目による統一試験方法及び性能値を規定することにより、市場の要請・要望に応えつつ、現在オフィスはもちろんの事、あらゆる建物に
なくてはならない商品として認知される商品にまで成長しています。
フリーアクセスフロアの総出荷面積は、2013年の378万㎡を底にして穏やかながら増加基調をたどり2019年度には444万㎡まで回復していましたが2020年度は一転370万㎡と急落しました。これは首都圏を中心とした大型事務所ビル建設が端境期になったことに加え、新型コロナウイルス感染禍の長期化で事務所ビル計画の見直しが一時的に行われた影響もあり、OAフロアの需要が新築・リニューアルとも大きく減少したことによります。
ただ、直近の2021年度の総出荷面積は398万㎡で前年比108%と伸長しております。長引くコロナ禍の反動、米中の需要拡大、更にはロシアによるウクライナへの侵攻の影響により、木材・鋼材・原油価格の高騰が急速に進み建築計画の延期や中止が懸念されますが、新築事務所ビルの着工は比較的堅調であり首都圏再開発案件を中心に、今後数年は一定の需要が期待できると考えます。
(※総出荷面積は当工業会の統計資料による)